検証:古いコーヒー豆は復活できるか?(仮説編)

実験・検証

コーヒー豆は古くなると酸っぱい味がしますよね。これはコーヒー豆の成分が酸化する為に起きています。しかし味が劣化する原因があるのであれば解決方法もあるはず。というわけで今回は酸っぱくなったコーヒー豆をなんとか救済できないか、化学的な視点を交えて検証していきたいと思います。

コーヒー豆はなぜ劣化する?

コーヒー豆の劣化とは主に下記を表します。

  • コーヒー豆から香りが抜けること
  • 豆の成分が酸化すること

■コーヒー豆から香りが抜ける

これについては残念ながらどうしようもありません。

一度抜けてしまった香りは取り戻す事ができません。

新しい豆と混ぜて新しい豆の香りでごまかすこともできますが、それならば最初から新しい豆でコーヒーを入れれば良いだけであり、今回の主旨からはそれるため言及しないで起きます。。。

■豆の成分が酸化する

コーヒー豆は空気や光に触れたり、温度が高い環境化に置かれると酸化しやすくなります。

この酸化が起きてしまうと、嫌な酸味が出てしまい、美味しくないコーヒーになってしまいます。

酸化の原因と対策については下記の記事でも紹介していますので、是非とも確認してみてくださいね。

 関連記事:コーヒー豆の保存方法:鮮度を保つコツ

酸化とは?何が起こっているの?

コーヒーで言うところの酸化とは、コーヒーの中の成分(クロロゲン酸ラクトン、キナ酸ラクトン等)や油分が加水分解したり、空気中の酸素と反応して分解されることを言います。

特にコーヒーに含まれる脂肪分は分解されると低級脂肪酸を発生させ、酸敗と呼ばれる酸化による劣化を引き起こし、臭みの原因となってしまいます。

このとき発生した低級脂肪酸は水に溶けやすい性質(水溶性)を示す傾向にあり、水溶液中では低級脂肪酸中のカルボキシル基から水素イオン(H)が遊離します。

この水素イオン(H)がpH(ペーハー)を低下させており、酸っぱさの原因と考えられます。

とまあ、いろいろと化学的な話をご紹介しましたが、シンプルに言うとコーヒー豆の油分は空気に触れたり水が加わったりすると変質してpHが低下する(酸っぱくなる)ということです。

酸化した豆を復活する方法は?(仮説)

では酸化した豆を復活するためにはどうすればよいのか?

あくまで「仮説」の段階ですが化学的に考えると以下の方法が有効ではないかと考えられます。

  • 酸化した脂肪分を除去する。(悪の根源を除去)
  • 酸化により発生した低級脂肪酸をエステル化する。(悪い成分を良い成分に変える)
  • 塩基性(アルカリ性)の溶液で酸(H)を中和する。(悪い成分を中性成分に変える

この他にも新しい豆と混ぜたり、高温で抽出するなどの方法も一般的には言われています。

しかし、これらの方法は酸っぱくなってしまった原因を解決しているわけでわありません。

悪い成分を薄めて味を分かり難くしているだけで、「復活」と呼べるかどうかは微妙ですので今回は対象から除外したいと思います。

具体的には何をすればよい?(あくまで仮説です。)

水で洗ってみる(酸化した脂肪分を除去する)

1つ目の方法です。

悪い成分は事前に取り除いてしまえ、ということで酸化した脂肪分を取り除きます。

具体的にはどうするかと言うと、コーヒー豆を水でさっと洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。

酸化の原因は加水分解ですが、加水分解反応が起こるにはある程度の時間がかかると思われます。

水溶性の低級脂肪酸を水で手早く洗い流し、酸化が進む前に水分を拭き取ることで酸化した悪い部分(豆表面の低級脂肪酸)を除去します。

加熱する(酸化により発生した低級脂肪酸をエステル化する)

2つ目は悪い成分を良い成分へと回復させる方法です。

酸化により発生した低級脂肪酸はカルボキシル基を有しています。

このカルボキシル基はアルコールと反応することで、香り高いエステルを生成します。

このエステル化反応(縮合)を利用して豆の状態を回復します。

具体的には豆(カルボン酸)をウィスキー(アルコール)、レモン汁(酸触媒)と共にフライパンで加熱します。
※いわゆるフィッシャーのエステル化です。
※アルコールの濃度が低く短時間で加熱する必要がある為、効果の程はわかりませんが。

副作用としてウィスキー中の香気成分が豆へと加わることが期待されます。

また、豆を加熱することによりクロロゲン酸やキナ酸の分子内脱水を促し、酸っぱくない成分(クロロゲン酸ラクトン、キナ酸ラクトン)へと戻ることも期待されます。

酸味を抑える何かを混ぜる(塩基性溶液で酸(H+)を中和する)

3つ目の方法は抽出方法により解決します。

酸っぱい成分の正体がHなのであれば、塩基性のもので中和すれば良いというわけです。

食品として活用でき、且つ水溶液中でアルカリ性を示すものとしてベーキングパウダー(重曹)があります。

ベーキングパウダーは炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)でできており、水中で加熱されると以下の化学反応式によりヒドロキシ基(OH-)を放出し、アルカリ性の水溶液となります。

2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O +CO2

Na2Co3 →2Na+ + CO32-

CO32- + H2O → HCO32- + OH

この水溶液中でアルカリ性を示す炭酸水素ナトリウムにより中和し、酸っぱさを除去します。

実際にはベーキングパウダーには酒石酸やクエン酸等の中和剤が含まれているため、効果の程はやってみないとわかりませんが。

また、中和反応によってナトリウム塩ができて塩辛くなる可能性があるため、味への影響が懸念される方法です。

検証結果は後日アップします

記事が長くなってしまいましたので、今回は「仮説編」ということで仮説にとどめたいと思います。

後日、検証結果をアップしますので、そちらについても是非確認してみてくださいね。

それではまた。

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