コーヒー豆は古くなると酸っぱい味がしますよね。これはコーヒー豆の成分が酸化する為に起きています。しかし味が劣化する原因があるのであれば解決方法もあるはず。というわけでコーヒー豆をなんとか救済できないか、化学的な視点を交えて検証していきたいと思います。今回は水で洗う方法により、古い豆の味を改善できるか実際に実験しながら検証していきます。豆の劣化の原因や「なぜ水で洗うのか?」というところについては以下の記事で紹介していますので確認してみてくださいね。
実験方法
以下の手順で実験を行います。
- 豆20gをザルの上で量り取る
- 水道水を溜めたボールにザルを入れてサッとすすぐ
- ザルをボールから引き上げて水を切り、キッチンペーパーで豆の水分を丁寧に拭きとる
- コーヒー豆を中挽きで挽き、ペーパードリップによりコーヒーを入れる
※ドリップ条件はハリオV60(02)ドリッパー、豆20g、湯温86度、蒸らし30秒、湯量200cc - pH、TDS、味を確認してコーヒーを評価する。
※pH(ペーハー)は水素イオン指数で酸の強さを表す指標です。
※TDS(総溶解固形物)は抽出液の濃度を表す指標です。
豆は料理用のクッキングスケールで量り取りました。
コーヒー通なら「Acaiaじゃないのか?」と思われるかもしれませんが、残念ながら普通のキッチンスケールです。
Acaiaについて気になる方は下記からご覧ください。
豆をすすぐ時間は計っていないのですが、10秒程度スプーンで手早く混ぜた後すぐに取り出しました。
キッチンペーパーで丁寧に水分を拭き取ります。(意外とここが時間がかかりめんどくさかったです。)
その後、コーヒーミル(手動ミル)でグラインドです。
ここで少し驚いたのですが、水で洗った豆は非常に柔らかく、スムーズに挽くことができました。
また、同じミル設定でも通常の豆に比べてやや粗めに仕上がる印象です。
抽出が完了後、pH、TDSを測定して味を確認しました。
実験結果
下記に検証データ(pH、TDS)をグラフ化したものを添付します。
今回は下記のグラフの中の「Normal」と「Washed」を見ていきましょう。
Normalが通常の何もせずに入れたコーヒー、Washedが洗浄した豆で入れたコーヒーです。
pHの値はバラツキはあるものの、上手く洗浄すれば通常の豆よりもpHがやや高くなる傾向にあります。
一方で、TDSを見るとバラツキは大きいですが、通常の豆に比べて洗浄した豆はTDSが大きくなったり小さくなったりすることはなさそうです。
また通常と洗浄で味を比べると、どちらも古い豆特有のえぐ味を伴うような酸味を感じました。
ただし、洗浄した豆のほうがやや甘みが強い(酸味が気にならない)ように感じました。(勘違いかもしれない程の些細な差ですが)
考察
豆を洗浄してコーヒーを入れると、わずかな差ではあるものの洗浄した豆の方がpHが高かったことから何かしらの原因で酸味が弱まったと思われます。
TDSの値が洗浄してもしなくても同程度であることから、洗浄したコーヒーが薄かったために酸味が弱かったわけではなさそうです。
前回の記事で仮説した通り、豆を洗浄したことにより豆表面の嫌な酸味成分が除去され、酸味を弱める効果があるのかもしれません。
本来であれば、抽出液を成分分析にかけてより正確な分析をするのでしょうが、残念ですがお宅実験室ではここまでです。
水洗による豆の復活は実用的か?
結論は「実用的でない」です。
ここまで頑張って実験してきましたが、
効果はほとんどわからないレベルのわずかな差であること、
何より水で洗浄した後にキッチンペーパーで拭き取る作業がめんどくさいこと、
から、水洗による豆の復活は実用的でない、が結論となります。
まあ、実験ですので成功もあれば失敗もあるということでしょうか。
次回はベーキングパウダーを使用した豆の復活方法に関する実験結果と考察を記事にしたいと思いますので、そちらについても是非見てみてくださいね。
それではまた。
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