コーヒーに含まれるカフェインには眠気を覚ます効果があると言われています。ほとんどの方が、日中の眠くなる時間帯にコーヒーを飲むことで眠気を覚ます経験をした事があるでしょう。逆に、夜寝る直前にコーヒーを飲んでしまい、寝付きが悪ってしまったという経験をされた方も少なくないかと思います。このように睡眠に対して大きく影響するカフェインですが、実は上手に付き合うことで睡眠に対して有効利用することができます。
そこで今回はカフェインと睡眠との関係性を正しく理解し、コーヒーを睡眠へと上手に利用した方法「コーヒーナップ」についてご紹介したいと思います。
カフェインの覚醒効果のメカニズム
◆睡眠とは?
人間の脳は非常に複雑で無意識のうちに多くの情報のやり取りをしており、脳が働くためには莫大なエネルギーが必要になると言われています。
このため、24時間休まずに働くと脳に大きな負荷がかかってしまうため、脳には休息が必要です。
この「脳の休息」の為に人間に備わったシステムが「睡眠」なのです。
◆眠いとはどういう事?
「眠い」とは脳の休息を促す為の身体の反応です。
人間の脳には「睡眠中枢」という部分があり、睡眠中枢が刺激されることで脳が睡眠状態になる(ノンレム睡眠が誘発される)と言われております。
この「睡眠中枢への刺激」ですが、人間の脳には「アデノシン」という物質が存在していて、このアデノシンがアデノシンA2A受容体という部分に結合することで睡眠中枢を刺激しています。
つまり、「眠い」をバイオサイエンスの言葉で言い換えると「アデノシンがアデノシンA2A受容体に結合する事」といえます。
◆なぜカフェインを摂取すると目が覚める?
カフェインはアデノシンと構造が似ています。カフェインがアデノシンA2A受容体と結合することで、アデノシンがアデノシンA2A受容体と結合できなくなります。
このため、睡眠中枢がアデノシンにより刺激されず、脳が覚醒状態になってしまうのです。
睡眠前のカフェイン摂取について
◆寝る何時間前までならコーヒーを飲んでも大丈夫?
これまでカフェインと睡眠の関係については様々な研究が行われておりますが、カフェインの人体への影響については個人差もあり、はっきりとした答えはありません。
一般的にはカフェインの血中濃度の半減期は4時間程度と言われており、4時間以内にカフェインを摂取すると睡眠へ影響する可能性が高まります。
◆適切なカフェイン摂取量はどのくらい?
内閣府の食品安全委員会によると1日あたりカフェイン摂取量は400mg以下であれば影響はないとのこと。
コーヒー1杯(150mL)あたりのカフェイン含有量が100mg程度になりますので、1日のコーヒー摂取量が4杯以下であれば全く問題ないということです。
コーヒーナップを活用しよう
◆コーヒーナップとはどのような方法?
世の中にはコーヒーナップという仮眠方法があります。ナップ(nap)とは英語で「昼寝」を意味します。
コーヒーナップの方法はシンプルで、日中の20分程度の仮眠の直前にコーヒーを飲むだけ。
非常にシンプルな方法ですがこのコーヒーナップ、コーヒーを睡眠に対して有効活用した非常に画期的な方法なんです。
一般的に、日中の15分〜20分の仮眠は眠気を覚ますために有効であると言われています。
※30分以上の仮眠をとるとノンレム睡眠(深い眠り)へと移行してしまい逆効果になる。
一方で、カフェインは摂取してから20分程度で効果が出始めると言われております。
つまり、カフェインの効果が出る前までの20分で仮眠をとってしまい、ちょうど目覚めるタイミングでカフェインが効き始めることにより脳を覚醒し、集中力を高める事ができるのです。
◆コーヒーナップの効果
睡眠およびカフェインにより、以下の効果が期待できます。
- 眠気覚まし
- 疲労回復
- 集中力の向上
- 記憶力の向上
- 運動能力の向上
- 判断力の向上
コーヒーを上手に取り入れて生産性を向上しよう
今回はコーヒーに含まれるカフェインについて、「睡眠」という視点からその効果と有効な利用方法をご紹介しました。
カフェインは決して悪いものではなく、上手に付きうことで日々の生産性を高める事ができる価値のある物だという事がご理解いただけたかと思います。
長時間労働が美徳とされていた昔と違い、現代社会においては仕事に高い生産性が求められます。
そのような現代社会だからこそ、コーヒーに含まれるカフェインを上手に利用することで、仕事の生産性を高めて周囲に差をつけてみてはいかがでしょうか?
それでは、また。
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